エクストリームマン

スーパー!のエクストリームマンのレビュー・感想・評価

スーパー!(2010年製作の映画)
4.5
ヒーロー映画としても屈指の出来だし、ケビン・ベーコン映画としても素晴らしい。

結局、ヒーローなんて、ヴィジランテなんてやつを始める連中は頭のオカシイやつらなのでは?というクリティカルすぎる問を突きつけてくると同時に、その可笑しさをも同時に描いて見せる傑作。そこにキリスト教的なテーマも重なって、かなり多層的。

個人的には、『キック・アス』観て「これはキてる!」と思った次にこれが来て観て、「行くとこまで行ったな!!」と大興奮した覚えが。バットマンが典型だけど、実は法を逸脱したところには白も黒もなくて、「正義感」で始めたヒーロー活動に救いや報いは訪れないのだ。

最初は、身近な「法で裁かれるほどではないちょっとした悪」をモンキーレンチでぶん殴ってたクリムゾン・ボルトが、その強い思い込みから、ケビン・ベーコン演じる街のチンピラと関わっていくとこのスリリングさったらない。主人公、弱そうなオッサンなのに、マスクを被って暴れ回る狂気っぷりすごいよなぁ。クライマックスとか、戦争だよね、もう。悲惨極まりない。

勝手にサイドキックなキャラ演じるエレン・ペイジもいい塩梅で、実は主人公以上に鬱屈として狂ってる。ある種の相乗効果で、あの結末に至るのだろう。色々考えさせられる。

ケビン・ベーコンのキャラも最高で、まぁ、悪いヤツではあるけど、最後まで「アイツなんも悪くね?」と思わせてくれる気のいい感じが好き。まぁ、現にアイツ特段悪いというわけではないし……ある意味、列に割り込んだヤツの延長線上にいるだけだよね。

GOTGも最高だけど、ジェームズ・ガンにはこういう映画もまた撮ってほしい。