イチロヲ

肉の蝋人形のイチロヲのレビュー・感想・評価

肉の蝋人形(1953年製作の映画)
3.5
投資家の裏切り行為によりアトリエを焼失させられた彫刻家が、12年の歳月を隔てて蝋人形館を設立するのだが、理想のモデル像をもつ女性を横恋慕したことにより、倒錯状態に陥ってしまう。1933年度の同名作品をリメイクしている、ゴシック・ホラー。

捜索劇のサスペンスがメインだった1933年度版と比べ、本作ではホラー路線にシフト。物語の骨子は同じだが、前作の女性記者がカットされており、ありきたりなヒロイン像をもつ女性が恐怖に晒される立ち位置になっている。

旧作では地味に写ったシーンが豪華な映像で補完されており、彫刻家役のヴィンセント・プライスが独特の佇まいを披露してくれる。恐怖に慄いているヒロインの素足を、何度もクロースアップさせる演出がエロい。

しかしながら、鑑賞者に推量させるべき部分を、その場で台詞にしてペラペラと喋ってしまうため、ドラマのカタルシスは希薄。撮影用の人形を使用しているため、作品のケレンミも後退している(個人的には蝋人形がプルプル震えているほうが好き)。
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