すずき

ミッドナイトクロスのすずきのレビュー・感想・評価

ミッドナイトクロス(1981年製作の映画)
3.7
B級映画音響マンのジャックは、風の効果音の録音のため、人気のない河川で野外録音をしていた。
そこに銃声。次いでパンクした車が川に突っ込んだ。
車の運転手は死亡していたが、後部座席の女性を救い出すことに成功したジャック。
その後、警察の取り調べを受けるが、警察は「事故」として扱いたい模様だった。
元警察のジャックはどうにも納得できなかったが、その時の録音テープに銃声があるハズ、と独自に事件の調査に乗り出す…

邦題は何故か「ミッドナイト・クロス」だけど、原題は「Blow out」。
偶然殺害現場を撮影してしまったカメラマンを描いた、アントニオーニ監督の「欲望(Blowup)」のオマージュなのですね。

やっぱり撮り方が上手いデ・パルマ監督。
ヒッチコック風のカメラワークや分割画面は相変わらず。
特に印象的だったのは、スタジオの音響室で録音テープをチェックするシーンの、カメラがぐるぐる回りながら一連を長回しで映し出すカット。一体カメラ何周するんだ!
役者の配置とか、かなり計算してるよなー。

犯人、黒幕は誰なのか、という謎にはあまり引っ張らず、中盤にあっさり描かれる。
鮮やかに事件を解決するミステリー的な面白さよりも、重要な証拠を持ってしまったことで狙われる主人公とヒロインのサスペンスとロマンスがメイン。
そして美しくも切ないクライマックスにはやられた!
ここでも主人公とヒロインを中心に、夜空の花火をぐるぐるカメラで映し出すデ・パルマのセンスが光る!
あのぐるぐるカメラの演出技法、なんて言うんだろーな。360°パン?でいーのかな。