アン・リー監督のテーマの幅が広くて驚く。「ライフ・オブ・パイ」「ブローク・バックマウンテン」とも全然違うホームドラマ。
目と耳からご馳走を愛でる。あんまり美味しそうなので、一旦停止。このままではお夜食を摂ることになってしまうと、翌日再開。
三姉妹と父のしっとりしたファミリーものだと思っていたが、各々の甘辛酸苦いエピソードを通して、家族の味わいを取り戻していく。
日曜の夕飯は、名コックであった父が腕を奮い、三姉妹が同じ食卓を囲み、近況を話す。各々が恋に仕事に悩んでいる。そして、口には出せない、誰が父親の面倒をみるのか。
長女は責任感が強くなり、上と下に挟まれた次女が全体を冷静に俯瞰し、三女はお気楽で自由。その印象も家族を思ってのこと。
そんな娘たちと父親との関係が、えー!ってところたくさんあって、お父さんが娘たちの下着も洗濯し畳んでいた。しかも間違えて分けたと文句言う娘たち。ちゃんと自分でやろうよ笑
邦題はしっとりしているのに、原題は「飲食男女」。英語タイトルも原題どおりで、なんだか力が抜けた感じがすごくいい。
そしてその組み合わせの妙に笑う。誰もが予想外の選択をする。それは台湾式完美結局。自分も家族も幸せである選択だった。お父さん最高でした。
家族同様に親しい人々にも温かいのがいい。
画面が暗かったのでレストア版を観たいですね。