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婉(えん)という女のkossのレビュー・感想・評価

婉(えん)という女(1971年製作の映画)
3.9
武家社会の不合理は「夜の鼓」、「武士道残酷物語」、「仇討」と変わらず描いてきた今井正の主題。その主題が女の身体と自立に移り、一族の受難から抵抗へと動いていく。受動的な能面のような女たち、意思決定権と主体のない男たちは武家社会を象徴。武家社会と云うはマゾヒズムと見つけたり。今井らしい荒っぽい演出の、女の秘められた性、躍動する男の背中、近親相姦等が抵抗への熾火として燻る。自立を助けてくれた農民の男の恋情を受け入れず、恋する師を追って城代行列に突っ込んでいく抵抗のラストは、前三作とは違い救いがある。
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