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美しきセルジュのmareのレビュー・感想・評価

美しきセルジュ(1957年製作の映画)
4.0
シャブロルのデビュー作ということで男同士の友情を描いた作品で、十八番のサスペンス作風がまだ確立していない頃だというのに、物語として既に完成されている。ストーリーとしては特に珍しいものでもないのだがなぜここまで面白く魅せられてしまうのか。対照的な男二人の交じわるようで交わらない変わった友情関係、小さな村のロケーションの素朴な美しさ、靄がかかったように希望を持てない人々にフランソワがどう向き合っていくか、あちこちで皆が抱える苦悩、全てのバランスが整っている。主人公がどのように動いていくかを期待させる映画というのがやはり面白い映画であることの一つの型だと思わされる。短編すらもすっ飛ばしいきなり長編映画でこのクオリティを放つシャブロル。お見事としか言いようがない。
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