一粒万倍日

南極料理人の一粒万倍日のレビュー・感想・評価

南極料理人(2009年製作の映画)
3.9
第38次越冬隊(1997年)の調理担当として赴任した、海上保安官出身の西村淳が著したエッセイ「面白南極料理人」を原作の映画化作品。

普段知る機会のない、南極での閉ざされた過酷な生活を知ることができました。

昭和基地は知ってたけど、昭和基地から1,000㎞も離れた標高3,810mにあるドームふじ基地があることを初めて知りました。
-70℃とかウイルスが存在しないとか水の沸点が85度とか、異世界すぎな環境です。

話は、主人公の西村(堺雅人さん)が、約1年半にわたる雪に閉ざされた基地での暮らしでの隊員たちのストレスを料理で癒そうと奮闘する話。

閉ざされた環境だからこそ、食のメンタルに与える影響が大きいと感じました。
ラーメンの備蓄が底をつき、(きたろうさん)あんなに落ち込む?(笑)
「僕の体はラーメンで出来ている」って…(笑)
私も、毎朝飲んでるコーヒーが飲めなくなったら辛すぎる…中毒なモノが奪われるのは辛いと自分に置き換えてみてました。

朝食の焼き魚、刺身やカニや伊勢海老が食されたり、また季節の行事をしたり、ミッドウィンター祭 - フランス料理(フォアグラのテリーヌ、白身魚のバルサミコ酢ソースなど)を赤ワインとともに楽しんだりと総じて豊かな食生活が描かれています。

1年半と長い期間の閉ざされた生活の中で起こる不満や衝突があっても、朝・昼・晩と集まる食卓によって絆が深まっていっていた。

西村さん食を通しての思いやりは、重曹をかん水の代わりにというアイディアを聞いて直ぐにラーメンを作ったシーンによく表れていたと思います。

エンドロールのビーチバレーのシーンの着地に、嬉しくなりました。

毎日地味な地道な食事作りですが、家族そろって食卓を囲んで食べることの大事さを感じさせてくれました。
食事は、体の栄養であるとともに心の栄養でもあると。

基地での起床時間や食事時間の合図が、クラシック音楽だったのもお洒落な工夫だったな!