ただのすず

みなさん、さようならのただのすずのレビュー・感想・評価

みなさん、さようなら(2012年製作の映画)
3.5
一生を、団地の中だけで生きる!と決めた少年の話。
中村監督の作品はテーマが幅広いので結局たくさん観てしまっているけど、
今のところ、これが一番好き。
少年から青年までを同じ役者が演じ切るという、
実力がないと絶対に成立しないようなことを
地味にしらーっとやってのけているところが凄い。
この映画の主人公も、ものすごく困難なことを
誰にも助けを求めず自身の内面と向かい合い続け
地道にやり遂げる。
心の芯の強さってこういうことなのだなと感心した。
たくさんのさようならをする映画だけど、
さようならした後、その人たちの人生がどうなったのか
一切は映されていない。だからこそ想像する。
団地だけが舞台であったのに、
そこには青春も未来も人生のすべてがあって広がりを感じる素晴らしい脚本。