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食人族のblacknessfallのレビュー・感想・評価

食人族(1981年製作の映画)
4.7
4Kリマスター上映行ってきたよ。

食人族映画のキングはやはり本作なのだと実感した。
他の追随を許さない陰惨で荒んだ空気感、製作時に荒廃の極にあったデオダート監督の世界に対する憎悪と負の情念が画面を支配する。そのせいでかなり凝っているが今日的基準ではチープなゴア・エフェクトも4Kでそのチープさが鮮明になったとしても鳥肌が立つほど恐ろしく鮮烈で何より生々しい。
生々しいと言えば今では決して許されないリアルな動物の虐殺シーン。4Kになったことで切断された猿の顔の断面、喉笛を刺されたジャコウネズミの断末魔の表情が鮮明に映し出される。特に亀の頭部と四肢を切断して胴を解体し臓物を取り出すシーンは血の気が引くグロさがさらにパワーアップしてた🤢 切断された頭部がパクパク動くのがトラウマ級の衝撃🤮
これらの動物虐殺を行うのはヤラセのショック・ドキュメンタリーを作り有名になろうとアマゾンのジャングル(通称グリーン・インフェルノ)に来た若者4人(1人が女性)。
そういう迷惑系YouTuberの始祖のようなメンタリティーのクズという設定だから「ヒャッハー😆」な演技でやってるんだけど、流石に亀解体は切断後も動く頭部や手足、髄液血液まみれの臓物のグロさと倫理的な苦悩から、顔面蒼白で吐きそうな表情になっていた。女性なんて頭部切断の瞬間、リアルな動作で顔を背けて以後ずっと後ろ向きだった。そりゃそうだよな、スクリーン越しでもキツいから。
でも、今回再見して一番邪悪で冒涜的だと思ったのは原住民の住む小屋を彼等が中に居る状態で放火して小屋を全焼させた後に、バカの紅一点フェイとアランが激しいセックスをするシーン。性的に興奮できる残虐性にドン引きした。

とにかく、最もアンモラルで残虐な食人映画の金字塔が4Kの魔法でさらにパワーアップしてDVDも持ってるし、全て知ってるショックやゴアばかりなのに初めてのような戦慄を衝撃を受けた。映画館で観てよかった。でも、もう観なくていいな。やっぱり動物殺すのはダメよ。

この動物殺しは俳優にも忸怩たる思いがある人もいて、このバカ4人が食人族に蛮行を働いた結果カニバル・リベンジされて残した遺品であるテープを観て、文明人の野蛮を嘆くモンロー教授役のロバート・カーマンはDVDの特典インタビューの中で「今だにこんな映画を観る奴らいるなんて信じられない、バカな連中だ💢」「俺は動物を殺すなんて聞いてなかった。デオダートに騙された」「俺の代表作がこんな映画とは、、」と酒が入ってたせいがかなり激しく作品とデオダート監督を罵っていた。
切ないのがこのインタビューは『食人族』DVD発売かなんかのファンイベント終了後に行われたものみたいで、前半イベントの様子が流れる。イベント中、ロバート・カーマンは「自家製で食人族腕時計作ったんです見てください🤩」「本物のモンロー教授だ!握手して😍」「サインくだせぇ🥺」とか熱烈な食人族ファンに囲まれて話しかけられる。それらにニコニコと「ありがとうね😘」と紳士的に応じてあげてたんだよ。その後にあのインタビューだったから受けた笑
気の毒なことにカーマンさんはこれで食人俳優としてオファーがきて食人族に次ぐ食人映画の名作『人喰い族』に出演してる笑 本人は不本意だろうけどこれは凄いことだよ。SFで言えば『スターウォーズ』と『スタートレック』に出演したような偉業だよ✨

あと、映画館で観てよかったと先に書いたけど、実は日本公開時にも映画館で観てる。小学生だったのに。
父親が「E.T観たいんだろ、映画館行くぞ」と行って街に連れて行ってくれたんだけど、父は街に着くなり「E.Tは満員で今日は無理らしいな」と言いだし、映画館の前に来ると「今日はこれにするか、すぐやるみたいだしな」と言われて入ったのが『食人族』だったんだよ。
当時はホラーも観たことなく、『食人族』の存在はCMとかで知ったけど、子供が観ちゃいけないもんだと思ってたんでかなり戸惑った。それより「テメー、E.Tっつったじゃねーか😡」て怒りと不満もあった。けど、ヤカラ体質の父の機嫌を損ねると怖いから素直に観て震えがあった笑
成長するにつれ、父親は自分が『食人族』観たいからおれをダシにしたのは分かったけど、不思議なのは当時は映画のレイティングてポルノ以外なかったのかな?今なら無理でしょ?
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