メイマーツインズ

トウキョウソナタのメイマーツインズのレビュー・感想・評価

トウキョウソナタ(2008年製作の映画)
3.5
今、上映中の話題作”スパイの妻〟の黒沢清監督作品。
ホラーのイメージが強い黒沢清監督だけど、とても味わい深い家族ドラマに仕上げている

東京を舞台にした、家族の物語。なんの変哲もない平凡なはずだった佐々木家に徐々に忍び寄る”不協和音〟。
そして佐々木家に絶望感が漂う…

父親を演じる香川照之はさすがの演技だ。役の幅が広い彼だが、特にこういう冴えない役は天下一品!(笑)
小泉今日子も、力が抜けた感じで、淡々と家族の現実に向き合う母親を好演している。
泥棒役の役所広司の存在が、日本人のもどかしさを象徴しているようだ…

家族の”かたち〟を独特のカメラワークで表現していて、家族の空気感がよく伝わってくる。
特に夕方から夜にかけて暗くなっていく海の描写は芸術的で、
寂しさと絶望を観る者に感じさせ、とても秀逸なシーンと思う。

”夜明け前が1番暗い〟

ラストシーン。息子のピアノ演奏に家族の”希望の光〟を感じる…

人肌恋しい秋の季節にピッタリな作品