悲しく美しい月の光の静寂に。
黒沢清監督。
心がバラバラになってしまった家族の姿が描かれる現代風ホームドラマ。
なんともドライな家族模様。それゆえに不思議なリアリティを感じる。
家族全員が、隠し事ややましいことがあったりしても、どこか他人事。気づいているのかいないのか。はっきりしていることは、誰も他の家族を頼らない。勝手に決めちゃう。裏を返せば信じていない。
大人も子供も、大切なことや悲しみを仮面の下にしまったまま家族を演じる。
香川照之はやっぱり上手い。
小泉今日子が良い。「ふきげんな過去」より全然良かった。
役所広司がいつ出てくるのかと思ったら…。登場時、笑ってしまった。
土屋太鳳が子役で出ている。ぜんぜんわからなかった。
少し前に観た「淵に立つ」もダークなホームドラマだったけどあれよりはマイルド。どっちが優れているというものではないけれど。
ホームドラマは時代を写す鏡のようだなと感じた。小津さんがこれを観たらどういう感想を持つのか知りたい。
最後に聴けるピアノソナタ。ここに本作のテーマが詰まってるんじゃないかと思う。これはぜひ劇場で聴きたかった。