すずき

ウルトラヴァイオレットのすずきのレビュー・感想・評価

ウルトラヴァイオレット(2006年製作の映画)
1.3
近未来、人類は僅かな体液の接触で感染する、新種のウィルスの蔓延を防ぐ為、感染者たち「ファージ」を完全に社会から隔離していた。
ファージたちは健康な人間たちを敵視し、地下組織を結成し、人類政府へのテロ活動をしていた。
主人公・バイオレットもその1人で、政府の開発したファージを絶滅させる最終兵器を奪う任務に就いていた。
だが、その最終兵器のケースに入っていたのは、謎の少年・シックスだった。
バイオレットはシックスを殺そうとする組織を裏切り、彼を守る行動に出る…

うーん、これはひどい!
「リベリオン」の監督で、ガン=カタも登場するとの事だったので、多少の期待はあったのだが…。

まず良かった所。
美しいミラ・ジョヴォヴィッチと、たまにSFガジェットにセンスいいのが少し。以上!

ダメな所は、いっぱい!
いくつか挙げていくと、まずはビジュアルの酷さが目につく。
「フィフス・エレメント」のような、漫画的な世界観を目指しているんだろうけど、全体的に安っぽすぎる!
CGのクオリティもヤバくて、マジでアサイラムレベルだ。
背景の多くがCGなんだけど、奥行き感ゼロ!浮きまくってます。
バイクアクションシーンはオールCGで、チープなCGアニメを見せられてる気分。
ジョヴォヴィッチの顔アップのシーン、なんかCG処理してる?妙に顔がぼやけてます。多分、アニメキャラ風に鼻筋を目立たなくしたかったのだろうか。

あと映画の世界観の根幹をなす設定が、まったく語られずに話が進んでいく。
それは、ファージウイルスってそもそもどういった病気なの?という箇所だ。
劇中ファージウイルスに感染して苦しむ人の描写は全くのゼロ!
皆ピンピンしてるから、今日も元気にテロ組織結成、人類に宣戦布告しちゃう。
そもそも隔離されたから人間を憎むって…もうちょっと、非人道的な扱いを受けているとか、そーゆー描写が必要なのでは。
で、鑑賞後wikipediaみたら、「感染した人間は超人的な知能と運動能力を身につけるが(中略)わずか12年で命を落とす」との事。
それ最初に言うべき設定じゃね!?
最終決戦に、突然ファージは光に敏感で暗闇でも目が見える、とか言い出すし、にも関わらず主人公は何故か見えないし、その理由も不明のまま。
…俺、なんか見落としてないよね???

脚本と展開も酷い。
後半、余命幾ばくもないシックス少年を救うには700人の敵部隊を倒さなければならない!という、クライマックス突入を期待させる熱い流れ!
「こんなの敵が多すぎるよ!逃げようよ!」とシックス少年に引き止められるバイオレット!
…しかし切り替わった次のシーン、このバイオレットちゃん、ホントに引き止められて、シックス君と公園で遊ぶというガイジムーブを決行!
案の定シックス君ブッ倒れて死んじゃうし、この脚本書いた奴頭おかしいんじゃねーかな。

そのあと結局敵本拠地に乗り込んで戦うんだけど、
バイオレットの前に多数の敵が出てきた!
→画面切り替わって敵ボスが話してるシーン
→画面が戻ってバイオレットがすでに敵全滅させてる
…みたいなシーン多くてゲンナリ。その倒す過程を見せろよ!

とはいえ、アクションシーン自体は前作「リベリオン」よりかなり増量している。
従来のガン=カタに、今作ではダンスっぽい動きを取り入れた新アクション。ゲームの「ベヨネッタ」の元ネタっぽい。
でもなあ、どれもなんか盛り上がらないのよねえ。
クリスチャン・ベールだからこそハマったのかな。
アクションのキレも落ちてるような印象だ。