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レネットとミラベル/四つの冒険のKSatのレビュー・感想・評価

4.2
田舎娘レネットとパリっ娘ミラベルの二人が、ひょんなことから出会い、体験する4つの噺。

最初の一話目「青い時間」だけレネットの住む田舎が舞台で、とても詩的で感傷的な印象を抱く。「緑の光線」同様、自然がもたらす小さくも感動的な瞬間を描いていて、美しい。

が、二話目以降はどうだろう。ガラリと変わって、コントのようなコミカルな都会譚に変わるのだ。田舎娘が都会に出て抱く変な印象を、実にコミカルかつお洒落に描いている。全く違う映画のようだ。

しかもそこに、今となっては強く感じられる80年代的なバブリーなダサい香りが漂い(特に音楽やファッション)、妙な味わいがもたらされている。ロメールの年齢を考えると、これは完全に同時代的な、偶然によるものだと思われる。ある種の映画的な魔法とも言えよう。

やや台詞がしつこいくらいはあるが、なかなか笑える。最後のまだ青臭いファブリス・ルキーニがもたらす笑いは必見。

個人的にミラベル役のジェシカ・フォルドがとても魅力的に見えた。ジョエル・ミケル自らが描いたというレネットが描く絵も、素朴派みたいで面白い。
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