りんとん

タクシードライバーのりんとんのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.4
ロバート・デ・ニーロの主演代表作。
そして当時まだ13歳だったジョディ・フォスターが娼婦役で英国アカデミー主演女優賞と新人賞を受賞するなど、歴史を感じさせる1本でもある。

BGMのサックスが耳に残る。

ロバート・デ・ニーロの映画だ♩というノリで手を出して、鑑賞後ドズーンと重い気持ちになった若者は私だけではないだろう…
社会派の名称マーティン・スコセッシ監督の代表作であるからこそ、軽い気持ちで観てはいけないということに気付くべきだった。

ベトナム戦争から帰還し、ニューヨークでタクシードライバーをするトラヴィスには、居場所がなかった。孤独と虚無を抱え、彼の闇を理解してくれる人は誰もいない。家族もいなければまだ友人もいない…
解説を見てようやく理解できたことなのだが、ベトナム戦争から帰還した彼らを取り巻く環境は酷いものだったらしい。
トラヴィスが一般世間から「ズレ」ていて、「イカレ」ていると言われても、彼はどうしたらいいのかわからなかった。
そんな元軍人が沢山いたのだという。

アメリカにとってベトナム戦争が汚点であったこと。
「戦闘には勝ったが戦争には負けた。」
でもトラヴィスのような人たちに、何が出来たというのだろう?
この映画が公開された時代に生きていれば、もしくはこの時代のアメリカ人に生まれていれば…この映画に表された闇を感じ取ることができたのかな。

トラヴィスは大統領候補を暗殺計画を立てたり、かと思えば少女娼婦のアイリスを救おうとしたり、一体何がしたいのだろう?と疑問に思った。
大統領候補やアイリスを娼婦として働かせている奴らを、そこまで憎んでいるように感じなかったから。
だけど、彼の中にある「誰かに自分を認めてもらいたい」という気持ちが原動力になっているのだなと気づいた。

皆さん言われていますが、ラスト車のバックミラーに映るデニーロの眼にやられた…。かっこいい…

淡々と、重い映画。
戦争なんてするからどんどん闇が生まれて広がっていくんだろうが!なんて思うけれども、そんな単純な感情で解決できるような問題じゃないんだよな。
平和ボッケボケの現代に生きる私たちには、難解なお話でした。
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