おん

タクシードライバーのおんのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.5
タクシードライバー

レビュー300本目。
見てくださる皆様、いいねくださる皆様いつもありがとうございます。
キリがいい時は、自分の中の印象的な作品をチョイスするという流れの中で今回はこちら。

戦争の後遺症なのか、不眠症に悩まされるベトナム戦争からの帰還兵トラヴィス。
真面目な青年だが、持病ゆえ定職につくことができず就職活動の結果、不眠症を生かした夜間のニューヨークシティを駆け回るタクシードライバーになる。
街中で一目惚れしたベッツィーヘの愛情はやがて歪み始め、狂気へと形を変え始める。

・感想
40年前の作品とは思えないくらい、題材映像共に色あせない素晴らしい作品。

映像としては、パンで撮られた惨劇の舞台となるホテルの映像の構図が引き締まっていて素晴らしいのと、ラストシーンの上から俯瞰するような映像美が特に印象的。

題材としては、当時のベトナム戦争からの帰還兵の社会的立場の行き場無さを描いたという面でも評価されるべきなのかなと思います。
トラヴィス視点から行くと、命をかけて守っていた国が、いざ戦争から帰ってきてみれば腐敗だらけで何のために自分は命をかけていたのかと思っても仕方ないのかな。
こういった社会派映画的な一面も持ちつつ、トラヴィスというキャラクターの強さを生かしたエンターテイメント性も欠くことなく仕上げられているのはお見事の一言。

・印象に残った点
@ラスト
やはりこのラストなくして語れないのかなと。
PTSDに悩んだトラヴィスは、犯罪行為に手を及ぼした結果、数奇な運命により英雄として扱われる訳ですが、最終的に本当に悪なのは誰なのか?正義はどこにあるのか?という問いかけになっているラストの形を我々視聴者に向けられたメッセージなんでしょう。
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