うぅ、、。
重い、、。
ズッシリきた。
刑法第39条
心神喪失者の行為は、罰しない。
心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
これが本作のテーマ。
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「逮捕すればそれで終わりですか!?」
→「終わりだ。」
いいですね〜、岸部一徳のこのドライな返答。私は好きです。
逮捕すりゃあ、それで終わりなんですよ。
多くの人にとっては。
堤真一の多重人格者っぷりもよかった。もう、目がイっちゃってる。
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ただそんなドラマ要素は序盤で終わる。本作は徹底的に陰鬱に作られているのだ。役者の演技もみんな暗い。そして、画面の半分が見えなかったり、傾いていたり、役者の首から下しか写さないなど、何かと不安を煽る演出。
しかし、それでもラストの法廷のシーンは、手に汗握る緊張と、血湧き肉躍る興奮が、ともにあった。ほぼすべての主要キャストが勢揃いし、次々と映し出される張り詰めた表情、暗い画面、ぐらぐら揺れまくるカメラ。被告人の嘘を暴こうとする鑑定人と、食い止めようとする弁護人。圧巻の法廷だ。
「僕が凶器を突き刺したかったのは、この理不尽な法律に対してだ」
この台詞が、本作の言いたかったことの全てだろう。
PS
今まで様々な映画を見てきて、多少の映像には慣れているつもりだったが、それでも本作にはどうしても耐えられない、トラウマになるほど残酷なカットが一つあった。私には無理だった。なので、いい作品だったがおそらくもう二度と見ることはないだろう。
公開:1999年
監督:森田芳光(『失楽園』『家族ゲーム』『黒い家』)
出演:鈴木京香、堤真一、岸部一徳、樹木希林、江守徹