らんらん

伊賀の水月のらんらんのレビュー・感想・評価

伊賀の水月(1942年製作の映画)
3.5
日本三大仇討ちの一つと言われる伊賀越えの仇討ちを阪東妻三郎主演で映画化

ちなみに三大仇討ちとは他に赤穂浪士、曽我兄弟の事件が数えられいて
いずれも映画化されていて見てはいるんだけど赤穂浪士以外は正直ピンとこない

伊賀越えの仇討ちってのは鍵屋の辻の決闘とも言われ、荒木又右衛門が活躍するお話です
荒木又右衛門の名前が出てはじめてなんとなく思い出すくらい

【あらすじ】
荒木又右衛門(阪妻)の親戚が殺されちゃって下手人は脱藩して逃亡
親友羅門光三郎は下手人の親戚だっため、阪妻とは対立関係になってしまう

さらには逃亡した下手人を江戸の旗本たちが匿ったことからただの個人、一族の争いから旗本vs大名の争いへと事が大きくなっちゃって、お互い引くに引けない意地の張り合いへと発展していく、、、

【感想】
荒木又右衛門のお話といえば、1952年の三船敏郎主演の映画を思い出した
仇討ち模様をメインとした三船版と比べると、今作ではその経過、背景といったところがメインかなぁと思う

阪妻が仇討ちに出るまでが長い、でもその前半の描写の細かさとリアリティが良い
それだけにクライマックスのはずの仇討ちがあっさりしすぎていて物足りないか
仇討ちに出るまでは阪妻版、仇討ちに出てからは三船版って感じ

史実では仇討ち成就までには何年もかかってるはずなんだけどその辺の描写も甘いし、いざ待ち伏せて討ち入る時の緊迫感、斬り合いの迫力、リアリティなんかもいまいちか

この映画での収穫としては
改めてちゃんとこの事件を調べて理解が増えた点
特に旗本vs大名の代理戦争みたいな形にまで発展していたってところが面白い

あとは映画では阪妻の舅が殺され、その息子と共に仇を討つってなってるけど
史実ではその兄と共に仇を討ってるんですよね
殺されたのは舅ではなく若い美男子、しかも殺された理由がまさかの衆道関係のもつれw

なるほど、、、確かに当時ならそんなことも普通にあるんだろうけど、それを現代でそのまま描写しちゃうと変な感じなっちゃいますもんね、織田信長はじめ戦国大名のほとんどは小姓と関係あったとか言うし、この辺りはあまり語られない歴史の一つって感じで興味深い
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