藍紺

ピアノ・レッスンの藍紺のレビュー・感想・評価

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)
4.0
「さらば、わが愛/覇王別姫」を観たついでに再鑑賞。両作ともに1993年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞しているというつながりがあったのでした。この年は凄い年だったんだな……。

正直ストーリー云々よりも、マイケル・ナイマンの繊細で叙情的な劇伴と視覚から入る映像の求心力に圧倒される。海岸にポツンと置かれたピアノに寄せては返す波。画の引きが強くて、もうこのシチュエーションを思いついただけでも大勝利でしょう。
監督脚本ジェーン・カンピオンのフェティシズムが映像のそこここからバッチバチに伝わるのも良き。言葉だけではない物言わぬ人間の隠された情念とその解放とか、無意識下のコントロール、愛情表現の複雑さ、みたいなものは「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(ジェーン・カンピオン作品はこの二作しか観ていませんが)にも通底するテーマだったように思う。
藍紺

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