このレビューはネタバレを含みます
トミーリー監督、バッドトリップ
2011年3月3日 18時29分レビュー
2005年、カンヌ国際映画祭主演男優賞、脚本賞受賞トミー・リー・ジョーンズ。製作総指揮リュック・ベッソン。脚本「バベル」のギジェルモ・アリアガ。監督トミー・リー・ジョーンズ。
世界の俳優が映画監督になったシリーズ。ずーッと気になっていた作品。日本じゃ缶コーヒーですっかり地球人、日本人と溶け込んでいるトミー・リー・ジョーンズ。
彼の処女作品であります。
共演にはスパイクリーの「25時」ですっかりお気に入り俳優、
「若き日のクリストファー・ウォーケン はたまた第二のルドガーハウアー」こと
バリー・ペッパーです。
埋葬、メキシコ、死のイメージ、、なんか直感でマイケルチミノの隠れた傑作「心の指紋」を思い出してしまいました。(似てなくも無い物語だよなー。)
いやー素晴らしかったですよ、、。ていうかトミー・リー・ジョーンズ!ハーバードでルームメイトが不都合な気候変動真実を予言したゴアさんだったんですね。びっくり。
物語は、とあるメキシカンひしめく農場主のトミーリー。そこにちくしょうよろしくなバリー。町は、小さく、カントリーが流れ、時は退屈に過ぎ行く。そこに一発の銃声が、、。物語は、はじまります。
トミーリーが本作に熱をあげ取り組んでいる姿が、メイキングからもよーく伝わります。
確かにメジャースタジオでは、見られない、出来ないストーリー。
西部劇のようで、どこかニューシネマの匂いもして良かったですね。
前半の「田舎の退屈さ」を表現する秀抜な捨てカット、目線の矛先の素晴らしい画
トミーリーの乾いた表現が冴えます。
音楽のマルコ・ベルトラミもいい感じ、カントリーからメキシカンチックな音が良し。
モリコーネの元で修行もしたかたで、トミーリーにモリコーネ駄目だしもされたとか、、。劇中の食堂のようなシーン、ピアノでの「別れの曲」ですかね?
そのピアノと映像がとってもいい雰囲気をかもしていましたね、必見。
あと退屈そうな華奢ガール、ジャニュアリー・ジョーンズ。キュートでしたね。ブレイクの予感大。
そして心持っていかれた主婦。オスカーも2010年に受賞したメリッサ・レオ。
素晴らしくやさぐれた感じ、生活臭がたまらなかったです。
「ザファイター」でオスカーもついてきたんでしょうね!本作の姿はとても良かった。ファンになりました。
もちろん本作の「受け」の役、バリーの存在が無かったら、トミーリーも生きてきません。
素晴らしい絶叫を聞かしています。
いや、本当に変な役ですが、やりきってますね。
バリーも近年中にオスカーノミネートする俳優さんだと思いますよ、悪役とかね似合うと思います。
銃弾から見える、ボーダーライン。
ボーダーラインから見える人種問題、乾いたメキシコの閑散とした風景、暑さ、石、風、退屈な日常、転がる死、犯罪、、。
トミーリーが素晴らしい監督だということがよくわかります。
物語の起伏的にも平板でいて極端で、かなり過激なところもありますが、とっても面白く響いてきて良かったですね。
ある意味、男の物語です。
トミーリーの「ゆがんだ怒り」をしずめる旅に私は見えました。
さて、
缶コーヒーファン、トミーリーファン必見!
トミ-リー監督するメキシカンバッドトリップな一作でございました。
追伸
特典映像でモーガンフリーマンが、観客として試写会場に見ていて、スタンディングオベーションをしていたのがとってもグッときました。
自宅鑑賞いまのところ2011ナンバーワンです!よかったこの「乾き」!