安堵霊タラコフスキー

全線~古きものと新しきもの~の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

4.8
エイゼンシュテインの誕生日(1月23日)にうっかり彼の作品を見逃してしまったが、今年で作られて90年ということもありこの作品を誕生日から1週間経ってから見る。

社会主義礼賛というか資本主義アンチの露骨な描写(施しという言葉を知らなそうな肥えた夫婦や欲を出したときの下品な農民ら等)には首を傾げたけど、強烈なイメージとその積み重ねの力には圧倒されるばかりで、モンタージュっていうのはカット自体のインパクトがあってこそ力を発揮するというのが改めてよくわかる。(というか労働者の顔のアップがどれも怖すぎ)

中盤には労働等の様子をひたすら撮ったシーンがあってドキュメンタリー的な面白さもあったが、そこでも豚の丸焼きみたいな衝撃描写を入れてくるあたり流石と言う他無い。

死ぬまでに見たい1001の映画ではエイゼンシュテインの代表的なサイレント映画の中で唯一紹介されていなかったものの、見応えという点では他の作品同様のものがあってエイゼンシュテインのサイレント映画の力強さは凄まじいものがあると改めて思い知らされた。