tacky

武士の一分(いちぶん)のtackyのレビュー・感想・評価

武士の一分(いちぶん)(2006年製作の映画)
4.0
藤沢周平原作、山田洋次監督シリーズの第三弾。
下級武士の普段の生活を淡々と描き、そこに起こる事件により、大きく人生が変わる様を、剣術を中心に添えて、見事に描ききるシリーズの最終作である。

今回は夫婦愛が重要なテーマである。
お互いが過ちを許せるのか?そこに下級といえども、武士の一分をかけて、人生の勝負に出る。

面目を守るが、愛も貫く主人公は、とても素晴らしい。
ハンデを物ともせず、気配、匂いなど五感全てを使って闘う姿は清々しかった。
芋ガラの煮物の味、佇まいなどで、妻とわかる愛情の深さも素晴らしい。

ラストシーンの前に、ツガイの小鳥の一羽が死んで、片方を野に解き放ち、鳥籠を静かに燃やすところに、主人公の悲しみが溢れていた。
ラストシーン、「新しい小鳥と籠を用意しなければ、」という徳平の台詞に、またツガイで飼われる小鳥と、この夫婦の行く末が幸せになりそうな予感が重なって、とても嬉しい気持ちになれた。
tacky

tacky