<概説>
小林多喜二の有名小説を初映画化。航海法も労働法も適応されない劣悪な環境に反発し、労働者は一方的な暴力に立ち向かいながらストライキに突入する。
<概説>
プロレタリアートを題材にした作品はこれが二作目ですが、こういった作品では個人が描かれないのがなんとも印象的。数名の名ありはいるにしても、その例外は群体としての存在として描かれています。
この非人称的な存在というのは悪玉である淺川監督についても同様。マルクスが革命前夜とした資本主義社会と、革命を担う大衆としての人間だけが存在している。労働者全体こそが物語の主点あり、個々人では社会を変革できないというのがよくわかりますね。
またモノクロ映画なので所々で登場人物の顔が影になりますが、この顔のない映像も個人の力を否定していて示唆的。どこまでも全体としての人間の物語で、ある意味では退屈。ある意味ではいい教材。
2009年にもカラー映画化されているらしいですが、メッセージ性という意味ではこちらの方が一枚上手かもしれません。