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スモークのchichichiのレビュー・感想・評価

スモーク(1995年製作の映画)
4.2
昨年のクリスマスに観てレビューは来年にしようかと思ったけどあまりにも大人な素敵な映画だったので…
季節外れですがちょっと前のクリスマスを思い出してください。

このジャケ写、いったい、なんだろう?
って思ってたら、ラストシーンに素敵なお話が待っていました♡


舞台になるのは、ブルックリンにある小さな煙草屋。
男同士の友情を中心に、あるキッカケで知り合っ少年との出逢い、元妻との再会、ある父と黒人少年との再会といった
決して大きな出来事は無いのだけど小さなエピソードが重なり合い温かい"嘘"がもたらすハートフルなお話。

なんたって、煙草屋のオギー役のハーヴェイ・カイテルの存在感と煙草を吸う姿がカッコよくて渋すぎ!

オギーの店が舞台で、その客であるポールと出会った黒人少年ラシード、ラシードが探していた父親のサイラス、オギーの元妻のルビーと軸になる人物が色々と変わっても流れもよくこれらのエピソードが優しく絡み合ってひとつの温かいラストへつながっていく。

実は、皆んな"嘘"をついているのだけれど、その嘘が悪いイメージは無い。
真実を語ることは、それほど重要な問題ではなくて、どれもギュッと抱きしめてあげたくなる、温かな温もりを持った嘘。
 
だからなん度聞いていてもその"嘘”が心地よかった

彼らには、真実は、それほど重要な問題ではないのだと思う

優しい嘘がもたらすことの方が時にはより人を幸せにもできるのだから

困っている時に頼ってくれる事や悩みを打ち明けてくれる事のほうが大切だと思う気持ち

そんな心の痛みを知っているからこそ
そっと寄り添える

オーギーが最後に語るクリスマスの話は
 真実では無いかもしれない

でも、そんな嘘の話を紡ぎ出した彼の心がとっても豊かで温かみがあった

何もかもを真実で固めても折り合いがつず耐えられないことがあるかもしれない。
そんな時に、優しい"嘘"に救いを求めるのだろう。

決して、"嘘"に頼ることは弱さではなく、人としての優しさではないだろうか。

現実か嘘かが問題ではなくて、人に寄り添えること、優しくできること、それが大切なこと。

これからも、この優しさに触れたくなってこの作品をずっと観ることになる気がする。

自信を持ってお勧めします。
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