シネラー

ダークナイトのシネラーのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
4.5
ダークナイト・トリロジーの
第二作であり、
個人的にも大好きな映画だが、
今回は映画館での鑑賞。
改めて、映画は映画館でこその
素晴らしさがあると実感し、
本作の良さを再確認できた。

本作を観て毎回思うのは、
"ヒーロー"の定義は
何かという点である。
本作はバットマンの敗北の物語であり、
自身の存在によってジョーカーが現れ、
市民、恋人、仲間が自分の身代わり
として犠牲になっていく。
そして、
彼の最後の選択は"ヒーロー"としての
失墜であるのと同時に、
"闇の騎士"としてのゴッサムシティ
への救済となっている。
バットマンという存在自体が、
善と悪は表裏一体である事を表して
いると感じられた。
そして、"ヒーロー"という存在の
曖昧さを本作は良く描いている
と思った。

ヒース・レジャーのジョーカーは
言うまでもなく見事だ。
ジャック・ニコルソン、
ジャレッド・レト、
ホアキン・フェニックス、
はたまたシーザー・ロメロと
どのジョーカーも甲乙つけがたいが、
最も思考が理解し難く、
恐怖を与えるジョーカーは
紛れもなくヒース・レジャーだ。

アクションに関しては、
カメラワークも含めて前作より
格段に良くなっており、
バットポットで滑走するバットマン
は本当に惚れ惚れする。
実際に建物を壊した病院爆破は
圧巻の一言。

不満点としては、
やはり上映時間の長さだ。
香港までの場面は少し描写を削って
短くできたのではと思う。
又、肉弾戦で苦戦する
バットマンが終始目立ち、
ヒーローとしての疑問が感じられた。

紛れもなくアメコミ映画の枠に
収まらない映画であり、
前作を未鑑賞でも
楽しめる続編だと思う。
現実にヒーローが居たらという
リアル志向映画の到達点と
言っても過言ではない。
説明的な部分や暗い雰囲気が続く作品
なので、嫌いな人は嫌いかもしれない
が、自分をバットマンのファンに
させた揺るぎない傑作だ。
シネラー

シネラー