Eyesworth

汚名のEyesworthのレビュー・感想・評価

汚名(1946年製作の映画)
4.4
【愛と任務の葛藤】

アルフレッド・ヒッチコック監督、イングリッド・バーグマン、ケイリー・グラントの豪華共演による1946年のスパイ・サスペンス&ラブ・ロマンス作品。

〈あらすじ〉
ドイツのスパイ容疑がかけられている父を持つ女性アリシア(ケイリー・グラント)に対して、FBI捜査官のデブリン(イングリッド・バーグマン)は任務のために接近する。デブリンはターゲットであるセバスチャンというナチ残党のドイツ人の情報を得るために、アリシアに彼と関係を結ぶよう協力を要請する。アリシアは彼の好意と期待に応えようとセバスチャンと結婚までして、スパイの任務を生真面目にやり通そうとする。果たしてその結末は...

〈所感〉
ヒッチコックの作品は『サイコ』『鳥』『裏窓』等を鑑賞して、人間の秘めたる狂気の部分にピントを当てている点に特色があると思ったが、この作品はそれらと比較するとシンプルなラブロマンスだと感じた。デブリンにぞっこんのアリシアが彼への愛を原動力に危険を冒す気持ちも理解できるし、デブリンはあくまで仕事のため彼女に接近しており、そこに恋愛感情を持ち込んではいけないという葛藤の機微が見事に描かれていた。そして、ワイン倉庫に二人で潜り込む緊張の一瞬。あのシーンがこの映画を古典的名作たらしめていると思った。二人の美男美女が画面に映っているとそれだけで画が持つ。モノクロなのに色が伝わってくる。彼らは手持無沙汰にならない。ヒッチコックのサスペンスは70年以上経った今でも我々をひりひりと楽しませてくれる。
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