竜平

つみきのいえの竜平のレビュー・感想・評価

つみきのいえ(2008年製作の映画)
4.1
水位の上昇により家々がほぼ沈んでしまっている街にて、上へと増築を繰り返しつつ未だそこで暮らし続ける一人の老人の姿を描く。短編アニメーション。

U-NEXTにてふと見つけて久しぶりに鑑賞。だいぶ前、初めて今作に出会った時はまずこのあらすじを見てなんかすげー怖い話なんじゃないかとか思った、ってのは俺だけなんかな。こんな設定の怖い夢見たことあるぜ、とかそんなことは本当にどうでもよくて。わずか12分ながらなんとも味わい深く、またちょっぴり目頭を熱くさせる内容。セリフはなく動きと音楽だけで綴るストーリーに、児童書のようなタッチの絵も相まって世界観まで素晴らしい。ひょんなことから自身の思い出に触れることになるおじいさん。その記憶を共に辿っていく中で、人生の温かさと、同時に切なさや儚さと、それでも続いていく、いや続けていく人生などいろいろ見えてくる。ふと過去を、後ろを振り返りたくなる時ってやっぱりある、けども今作はその気持ちを後ろ向きのままでなくちゃんと前向きにさせてくれるから素晴らしい。12分でこの濃度よ、拍手。

まぁ多くは語るまい。まだの人はぜひ一度お試しあれ。長澤まさみによるナレーションが入ったバージョンもあるのかな、そっちでは見てないんだけど普通にナレーションなしで見たほうがいいと思うよん。THE ほっこり、な一本。
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