砂

ざくろの色の砂のレビュー・感想・評価

ざくろの色(1971年製作の映画)
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アルメニアの詩人、サヤト・ノヴァの生涯を詩的なビジョンの連続で描いた(非)伝記的な叙事詩映画。

物語はあらすじを読まないと意味が汲み取れない。説明も会話もないし、直接的な描写もない。
言葉ではなく、詩的な映像と音楽の連続である。中世アルメニア教会の形、色。
神秘主義と詩は同一ではないが、不可分なところを共有している。
象徴として提示されるおよそ半分も理解はできなかったが、それでいいと思う。
わかりやすいところでは画面いっぱいの羊の群れ。絨毯?宗教絵?のようなものがはためくシーンは本当に詩だった。

形式として理解できないところは多くても、ビジョンとして受ける印象は不可解なまま私のなかで残しておきたい。それも映画であり詩であると思う。

私はこの映画を10年以上観たかった。この度
山口での爆音映画祭にてようやく実現した。
音響の妙も抜群だった。
本当にこれを上映してくれて感謝である。
砂