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日本沈没のblacknessfallのレビュー・感想・評価

日本沈没(1973年製作の映画)
3.6
日本SF小説のゴッド小松左京の原作の映画化、ディザスター映画の大作。
スケールの大きい話をうまく映画のフォーマットに落とし込んだと思う。東宝が総力上げて撮ったのがよく分かる。しかし、東宝と言えば特撮なんだけどそこが若干弱いと言うか、年代を考えるとチープなとこがけっこうあった。会社の経営状態が良くなかったのかな?

でも、それを補ってあまりある深みとリアルさがある脚本と豪華な出演者達の巧みな演技で退屈することなく見れた。
日本が沈没するというかなり荒唐無稽でスケールが大きすぎて観る側が想像しにくい設定を事相の積み重ね、確かな科学的考証(と感じるロジック)と事態に翻弄されながら立ち向かう登場人物達の等身大の人間を感じさせてくれる演技で「これは起こりうる」というリアリティーを受け取れた。

映画内のリアリティー・ラインの引き方が素晴らしい。これは原作が優れているからなんだろうね?読んだことないから分からないけど。

政府が危機に立ち向かうのがメインのストーリーラインだから、今の日本だったらどうなるだろうと言う目で観てしまった。国民の危機に今の政府がどう動くか?という点で。

まず、映画の政府は本当に良心的で誠実なんだよな。丹波哲郎さんが首相なんだけど、日本が沈没すると突き止めた学者の言うことに真摯に耳を傾け、この学者の予見が外れたら失策になるリスク、要するに政権のメンツが潰れることを恐れず、全国民の脱出計画に着手する姿勢は丹波哲郎さんの重厚な演技もあってとても感動的だった。
国民の移住先確保のために世界各国に頭を下げてお願いする。使命感と責任感に突き動かされ無私の心でやれることは全部やる。
計画が頓挫しそうになり涙目で苦悩する表情はソン・ガンホ並みのエモーションを喚起するかっこよさだった!丹波哲郎さんは『人間革命』の戸田城聖役もよかったし、偉い人が似合うね笑

この映画に出てくる危機に対処する人達みんな良心的なんだよね、学者の人も他の学者達に嘲笑されても折れずに危機を訴え続けるし、日本の黒幕と黙される富豪の老人も沈没予知や脱出計画の研究に金や土地を惜しみ無く提供する。

今の日本ならこうはならないよね。現政権と現首相はメンツと我欲の塊だから。まず学者の警告聞かないよね、「その指摘は当たらない」とか言ってスルーすると思うね。そしてやっぱり沈没すると知ったら、我々には本当のことを何も告げず自分達とお仲間の財界人達だけでとっと逃げるよ、間違いなく笑
そんな風に思って観てたので物凄い危機的状況に映画の中の人達はいるんだけど、良心的で誠実で覚悟と責任感があるまともな政権下で暮らせてて羨ましく感じたね😂

それと、藤岡弘、が若くシュッした精悍なイケメンで一瞬分からなかった笑 今、ブクブクだからな笑
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