すずき

死霊のはらわたのすずきのレビュー・感想・評価

死霊のはらわた(1981年製作の映画)
3.4
山奥のボロ屋でキャンプする、主人公アッシュら若者5人(男2女3)。だが彼らはそこで、前の持ち主が研究していた古代の魔導書「死者の書」を発見してしまい、そこから悪霊を呼び出してしまう。一人、また一人と怪異に襲われ、悪霊に取り憑かれてしまうアッシュの友人達。ゾンビ化してしまった彼らを救うには、身体をバラバラにするしかない!
サム・ライミ監督の長編デビュー作、カルトスプラッタホラーの金字塔!

多くのホラーに言えるかもだけど(そんなにホラー見ないけど)、怖いと感じる部分って、怪物なり殺人鬼なりが登場するまでの前フリの部分なんだよねー。「出るぞ出るぞ」と自分で恐怖を煽っちゃって、いざ実際出ると大して怖くない、この映画もそのタイプだ。
だからといってこの作品が、映画として残念なわけじゃない。
中盤までは悪霊本体が出てこなくて、「怖い」映画だったけど、中盤以降はテンションがアップ、スプラッター描写も血糊の量もいっぱいで楽しめる作品となっている。
びっくりさせるような演出もないし、血はドバドバ出るけどそんなに痛そうじゃない。初心者でも安心して見られるスプラッタホラーだ。

21歳のサム・ライミ監督と仲間たちの、手作り感溢れる映像もいい。クライマックスの人体が一気に腐敗して溶けるシーンは、クレイアニメのようなストップモーション撮影で、予算の無い中の精一杯の映像を作る、という意気込みが伝わる。
時代もあるけど、全体的に映像がチープ。でも、構図に変化をつけたり、カメラワークが凝ってたりと工夫が凝らしてある。
映画監督を志す若者が観るべき作品、というのも納得だ。

ストーリーとか演技とかの完成度はそんなに高くないんだけど、サム・ライミ監督の天才性と、(当時としては)スプラッタ方向に突き抜けた映像で、今見ても割と楽しめる。