ユースケ

エイリアンのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

エイリアン(1979年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

宇宙貨物船ノストロモ号という名の古城を舞台にエイリアンという名の吸血鬼に次々に殺されていく乗組員たちの恐怖を描いた本作は、宇宙を舞台にしたゴシックホラーであり、エイリアンの言葉の意味を外国人から地球外生命体に変えたSFホラーの傑作。

みどころは、ダン・オバノンが作り出したクトゥルフ神話をビンビンに感じさせるストーリーを映像化するために集結した超一流アーティスト達が作り出したデザインの数々。
エイリアンの強酸性の血液のアイデアを考え出したロン・コッブのコンセプトデザインも、クリス・フォスの宇宙船のデザインも、メビウスことジャン・ジローの宇宙服のデザインも、それらを妥協する事なく完璧にまとめ上げたリドリー・スコットのビジュアルセンスも素晴らしいのですが、何と言ってもH.R.ギーガーのエイリアン(エッグチェンバー、フェイスハガー、チェストバスター、ビッグチャップ)の名状しがたいクリーチャーデザインはぶっちぎり。スペースジョッキーや馬蹄形の宇宙船のデザインもお見事です。
レビューを書くにあたって【エイリアン】の成り立ちを調べていくうちに、ダン・オバノンとH.R.ギーガーを引き合わせたアレハンドロ・ホドロフスキー監督の存在の偉大さを思い知りました。

更に、戦うヒロインの代名詞となったエレン・リプリ―を演じたシガニー・ウィーバーをはじめ、トム・スケリット、イアン・ホルム、ジョン・ハートなど、しっかりと立ったキャラクターにカチッとハマったキャスティングも要チェック。

クライマックスのエイリアンとタイマンを張るリプリーの小ちゃなパンティもたまりませんが、エロ本(平凡パンチ)を武器にリプリーに襲い掛かり、ぶん殴られて牛乳を撒き散らし、「あれは完璧な生物だ」と【フェイズIV 戦慄!昆虫パニック】の引用をかましてエイリアンに萌えるイアン・ホルム演じるアンドロイドのアッシュもたまりません。

Z級SF映画のアイデア王イブ・メルキオールの脚本をマカロニ・ホラーの巨匠マリオ・バーヴァが監督した元ネタ【バンパイアの惑星】ついてはまた別の機会に。

【ディレクターズ・カット版】のみどころ…ノストロモ号船長のアーサー・ダラス(トム・スケリット)がエイリアンの繭にされて殺してくれと懇願するシーン。機関士のサミュエル・ブレット(ハリー・ディーン・スタント)もドロドロの状態で登場します。リドリー・スコットのエイリアンはジェームズ・キャメロンのエイリアンと違って下品な卵産みなんてしねーんだよ。