矢嶋

機動戦士ガンダム F91の矢嶋のレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム F91(1991年製作の映画)
3.9
久しぶりに見てみたが、相変わらず何をやっているのかよく分からない。他メディアにて色々補完している今だからこそある程度理解はしているが、本作だけを見て内容を理解するには明らかに説明が不足している。ロナ家のこと、シーブックとセシリーの関係、アンナマリーの想い…等々。まあ、過去作との繋がりが希薄な作品を富野監督が映画で作るとこうなるのも必然な気もするが。

その割に楽しく見てしまうのは、単純にメカニックの魅力。F91やCVのMSは今見ても色あせないデザイン。スピード感ある空中戦やビームシールドやサーベル、V.S.B.Rを使ったアクションはかっこいい。

そして、相変わらず大人達はクズばかりでレズリーを除いた各家庭の親も糞なら連邦軍やレジスタンスも糞。にも関わらず、シーブックとセシリーはニュータイプとして理想と言える域にまで達しているように思える。二人の共感やなすべきことを即断できる直感、ラストシーンの再会…シャアが目指しつつも諦めていた「人類全体をニュータイプにする」という思想をシーブックはあっさり肯定している(彼が若いゆえの無邪気さもあるかもしれないが)。
これがあるために、民間人の凄惨な被害やバグというおぞましい兵器がありながらも、実は結構前向きな作品であるように思うのだ。

しかし、ザビーネやドレルはおろか、マイッツァーまで生き残っていてちっとも事態が収まっていないのもすごい。ゆえに、関連作品での補完が多いのだろうが。
矢嶋

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