矢嶋

大魔神の矢嶋のレビュー・感想・評価

大魔神(1966年製作の映画)
3.7
特撮のレベルはかなり高い。合成技術もだが、ミニチュアがすごく気合入っていて迫力がある。この部分だけで特撮ファンは見る価値があるだろう。

魔神は一見すると小笹の願いを聞いてくれたように見えるが、実はそこまで協力的なわけでないのが面白い。そもそも勧善懲悪に見えて10年も放置していた上、あの展開だと自分に危害を加えられたことがきっかけにも見える。そして、途中までは無辜の民を巻き添えにすることもさして気にしていなかった。つまり、罰当たりというよりは怒れる魔神という感が強い。
ゴジラでさえ鳴き声等である程度感情らしいものが見えるが、一切無言であるため考えが読めない怖さがある。山の中における幻覚や巫女が殺されたシーン等もおどろおどろしい演出がなされており、昔の日本的な怖さが個性だと思う。そして、感情が見えないところにあの血走った目があるため、怒りの印象を強めている。

逆に魔神が出てくるまでは、金がかかっているとは言えあまりにも普通の時代劇だったと思う。怪獣が出るまでの溜めというという感じはあまりしない。王道ではあるがよくある話で、脚本の面白さは希薄だった。殺陣もレベルが低いわけではないが、やはり普通だなと思ってしまう。
そもそも個人的に時代劇が得意じゃないのだが、迷信が多くの人に信じられている設定や、小笹の清い信仰心に説得力を持たせるには妥当なのかなとも思う。

それと、昔の特撮における子供の出番の多さはここでもあるんだな…と思った。思ったよりは頑張っていたが、やはり演技では大幅に劣るので気になる。
矢嶋

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