滝和也

機動戦士ガンダム F91の滝和也のレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム F91(1991年製作の映画)
3.8
昨日、久し振りに見た
森口博子は何故か、
セーラー服を着ていた…。

ひ〜か〜るか〜ぜの中〜♪
ああ名曲である。紅白で歌う彼女をガンオタたちは良かったね〜と思ったものだ。ガンダムファンにZ以来支えられていた彼女に(^^)

その名曲を主題歌に持つF91。安彦、大河原、そして富野由悠季がファーストガンダム以来、揃った劇場オリジナル作品。逆襲のシャアで語られた第二次ネオ・ジオン戦争、シャアの反乱から30年!時代をリセットし、新たなるガンダムが始まる!

はずだった…。今作はTV放映を狙い作られたが、残念ながらTV版は作成されなかった…。当たらなかったか、プラモが売れなかったか、理由はわからない。何故理由がわからないかは、劇場で見た私には面白かったのだ!

スペースコロニー、フロンティア4を急襲する謎のモビルスーツ。学生である主人公シーブック達の平和な学園生活は突然の攻撃に脆くも破られる。クロスボーン・バンガードを名乗る軍勢に地球連邦軍はなす術なくやられていく…。シーブック達が避難した先の練習艦ホワイトアークには、サナリィの
新型ガンダムがあった。それはシーブックの母が心血を注ぎ完成させようとした機体であった。皆を守るため、シーブックはその機体に乗り込む…。

ヒロインには、主人公の同級生であり、実はクロスボーンの姫君セシリー。彼女の父・祖父・義理の父、母そしてシーブックの両親。至る所に、家族の形、親子をテーマとし、散りばめながら戦いは続く!

暗にファーストガンダムのテーマでもある、子供である主人公の成長の過程、親からの巣立ちを思わせる内容であり、わかりやすくストーリー化されている。但しハイスピードなので要注意。

だが何よりも素晴らしいのはモビルスーツ戦の動き、カット割、作画。クロスボーンのデナン・ゾンの素早い動き、そして旧式と化した連邦のジェガンのやられっぷり。恐竜の如く大型化したモビルスーツが、小型の最新型に屈する。このアイディアは画期的だった。また主人公機であるF91も小型で敏捷であり、更に火力がある設定。終いには質量を持った残像、分身する!その作画はセルアニメならではの生きた画面。クロスボーンのゴーグルアイにフリッツヘルムは今見てもカッコイイ。賛否あるがビームシールドも初登場。ビジュアルに華を添える。

また皆殺しの富野の片鱗を見せるシーンも用意されている。序盤にある学校の友人があっけなく無駄な死を遂げるシーンを始め、あっけない死がそこには存在する。戦争とは命をなくす、痛みが伴うことをストレートに表現してくる。そして円盤獣ラフレシアと大量の回転ノコギリ、バグがコロニーに…
虐殺すら描いてくるのだ。そのテーマは、見せ方はVガンダムにも繋る…。

コスモバビロニアを唱える貴族主義のロナ家が敵であるとか、無理な部分もあるが、これはこれでガンダムであり、傑作であると言える。ガンオタで見てない方はいないと思うが、再評価に値するはずだ。出来れば続きが見たい…。
滝和也

滝和也