ザリくん

未知との遭遇のザリくんのレビュー・感想・評価

未知との遭遇(1977年製作の映画)
3.6
スピルバーグ、UFO映画の金字塔。

何もカットがされていないこのverは、UFO第一主義として(現実を引き換えにした)接近遭遇をとにかく肯定的に描いている。
大人になってから初めて見たので何とも奇妙な後味になった、この映画自体が未知との遭遇だった。

この映画には2種類の解釈があると思う。

①空飛ぶ円盤のロマン、それには全てを投げ打ってでも引き寄せられる魅力がある。人は(特別男子は)その好奇心に抗うことは出来ない。「未知との遭遇」はいくつになってもワクワクするものである。アメリカンドリーム!

②第一種接近遭遇によりUFO目撃が多発。第二種接近遭遇にて超常現象が起き加えて目撃者に人格変調の顕現。その中の1人の男が「第三接近遭遇」にて空飛ぶ円盤の搭乗員と接触を果たし宇宙人の思うがまま飛び去ってしまった、その侵略・誘拐一連の流れを描いたもの。

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後のカット版やスピルバーグの生い立ち、作風からすると①が正解なのが妥当だと思う。父が幼少期出ていった監督は、この映画を通して家族と、子供のようにロマンに夢中になる大人を肯定したかったのかもしれない。それにネガティブな裏テーマ的な作品はスピルバーグのイメージに合わないので②は都市伝説のように捉えてほしい。

②について説明する。
そもそも原題の第三接近遭遇はUFOの宇宙人と接触することであり、その前段階の第一種、第二種を順を追って描写した映画だということ。

第一種は遠くからUFOを目撃すること。
最初の20分は常に夜空に人工衛星なのか飛行機なのか分からない物体が飛んでおり、各地で目撃例があってはキャッキャしていた。

第二種は近くにUFOが来て超常現象が発生すること。
車や家の中では死霊館の如くポルターガイストが起こり、電子機器は異常をきたし、その閃光を浴びたものはコミカルに日焼けするが、その後取り憑かれたように着陸地の幻想に執着していた。主人公は元々子供ぽい物に惹かれる傾向があったが第二種後は飛躍的に言動が異常になる。シャイニングのジャック・ニコルソンばりの強迫性を発揮し家庭は崩壊する。家族が殺されなくて良かった。

第三種はUFOの宇宙人と接触すること。
マニピュレーターの音声メッセージでコンタクトを取り、邂逅。一番印象的なスぺクタルシーンだ。一同は(時空を超えて?)誘拐されることに疑問を持たず、主人公は乗り込む。

全体を見るとパトカーとチェイシングしたりおもしろおかしく描かれているが恐ろしい現象ばかりだ。宇宙人に洗脳された人類がどう躍らされたかを表している。しかし流石はスピルバーグ、余りあるエンタメパワーで気味悪さを余り感じさせない。
妄想終わり。

特別版やファイナルカットは純粋に①で楽しめそう。実際に見てみたい。


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余談。
インド人のアーヤーアーヤーヘー!!!アーヤーアーヤーヘー!!!から
例の五音、レーミードードー⤵︎ ︎ソーを
一瞬で拾い即興でkeyD♭Mで再現した絶対音感科学者達で笑った。

マザーシップとマニピュレーターのコミュニケーション、意味わからなくて好き。
マニピュ「keyF・・・」
マニピュ「keyB♭連打!」
マザー「keyFオク下〜」
マニピュ「keyF」
マザー「(嬉々として)低音連打!」
マニピュ「keyA♭M」
マザー「(同keyオク下で合奏)」
JAWSのテーマも挟みセッション♪
マザー「下の扉開けます」
未知との遭遇。

宇宙人の音楽感性は難しい・・・
ザリくん

ザリくん