よっしい

サラの鍵のよっしいのレビュー・感想・評価

サラの鍵(2010年製作の映画)
4.2
先日会社の後輩と飲み会をした時の話です。

私自身が戦中の歴史に興味があったので、
いつかオシフィエンチム(アウシュビッツ)に行きたいんだよね〜と、日本酒片手に語ったところ、後輩君から言われました。
「アウシュビッツ?僕、歴史弱いんでわからないです。」
・・・絶句しました。

この映画の冒頭でも同じ境遇の若手ジャーナリストたちが登場します。
パリで起きたユダヤ人の迫害のこと。
しかもそれがナチス・ドイツではなく、(制圧下ではあったとしても)フランス人によって行われていた事実。
そんな風に、歴史が少しずつ忘れられている現代から、作品は始まります。

この映画は史実を受けつつも、そこにフィクションをまぜこみ、一作のエンターテイメントに仕上げています。
ライフ・イズ・ビューティフルや、聖なる嘘つきに近い。
引き込まれるようなストーリーテリングでした。

戦中のシーンと、現代のシーンが入れ替わり立ち代わりしながら、納屋の鍵を必死に守る少女、サラ。そして、その過去を追うジャーナリスト、ジュリアが交錯する画面転換はホロコーストをテーマにした作品の中でも群を抜いて引き込まれます。

テーマの残酷性、非人道的な戦時下の行為は覆せません。
なので、フィクションといえども、このテーマを選んだ映画は、ラストが暗くなりがちです。が、最後のジュリアのセリフに救われた方も多いのではないでしょうか?

彼女が何を言ったのか?ぜひお確かめください。
よっしい

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