シネラー

キング・コングのシネラーのレビュー・感想・評価

キング・コング(1933年製作の映画)
4.0
怪獣映画の原点とも言うべき作品。
『ゴジラVSコング』に備えて、
本作も再鑑賞。
本作を初鑑賞したのは、
ピーター・ジャクソン版が公開された
時期だった為、
約16年振りの再鑑賞だったが、
今でも楽しめる怪獣映画だった。

映画の撮影隊が未知の島へと訪れ、
そこで島の王であるコングに遭遇する
モンスター映画の古典だが、
『ゴジラ』と同様に当時の世界恐慌や
女性蔑視などの時代背景を感じさせる
良い映画だと思う。
物語自体もテンポ良く進行する為、
間延びに感じる事もなかった。
コマ撮りによる技法は、
今でも緊迫感を感じさせる位に素晴らしく、
撮影隊が恐竜に襲われる場面は
率直に怖いと思った。
又、飛行機からのコングも
工夫を凝らした視点で良かった。

気になった点を述べると、
ヒロインであるアンの恋愛模様が
急過ぎると思った。
又、「美女が野獣を殺したんだ」という
最後の名台詞に関しては、
後のリメイク作のコングとアンが
相思相愛に描かれていくだけに、
本作だけだと
どうしても責任逃れな印象が強かった。

他の怪獣映画に通じていく、
人間の傲慢さによって都会に
連れて来られたコングの悲劇性は、
正に怪獣の原点だと感じられる傑作だ。
1933年製作と思えないクオリティであり、
個人的にエンパイア・ステート・ビルに
訪れてみたいという願望をつくった作品だった。
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