タカナリ

博奕打ち 総長賭博のタカナリのレビュー・感想・評価

博奕打ち 総長賭博(1968年製作の映画)
3.7
シリーズ第4弾。
昭和9年。天竜一家総長荒川が倒れた。後継者に推薦された中井は外様を理由に辞退し、後継者は荒川の娘婿である石戸に決まった。
しかし中井と兄弟分である松田がそれを許さなかった。

作家・三島由紀夫に絶賛された作品。
シリーズではありますが続編という訳ではないので、どれから見ても問題ありません。
内容も、“石戸をどうにかしたい松田を中井はどうするのか”と結構シンプルなので、思ったよりも見易かったです。

中井がとにかく優しいです。自分の地位を使って、話し合いで済むならそれでいいと思っています。博徒にしては珍しい人間だと思います。こんな人が何で博徒なんかになったのか。
中井もそうなんですが、松田と松田の舎弟が後先考えてないのが気になります。あまりにも自分勝手。石戸を殺したら周りの人間がどうなるかをなぜ考えないのか。舎弟の命で済む問題ではないです。
こちらは中井とは逆に、それすらも考えられないくらいに視野が狭く、すぐに暴力に走るから、博徒になったのも納得。
こういう奴らばかりで組織成り立たせるの大変だろうな。

優しいのはいいですし、中井の声がけでどうにかなるならいいですが、中井の言う事聞くのはだいたい中井より下の組員です。中井と同等、もしくは上の人間は耳を貸すも止まりません。
中井にどうにかして欲しい気持ちはありますが、言っても止まらないため、中井の言葉に説得力がどんどんなくなります。
それは中井自身も分かっているため、最終的には武器を手にしますが、その結果があまりにも切ない。
そうなる覚悟はしていたでしょうけど、信用していた人からのあの一言はキツい。

最初は信用出来なかった石戸ですが、終盤には印象変わります。めちゃくちゃ堂々としてた。
もしかしたら一番信用出来たのは石戸だったのかもしれない。

そして金子信雄のあの演技。一級品でした。