タカナリ

虐殺器官のタカナリのレビュー・感想・評価

虐殺器官(2015年製作の映画)
3.5
サラエボで発生した核爆弾のテロにより、世界中で戦争やテロが激化。アメリカなどの先進諸国はテロ攻撃に対抗し、厳重な個人情報管理対策を構築した。
十数年後、後進国で内戦や虐殺が横行。その扇動者とされるアメリカ人ジョン・ポールに暗殺命令が出された。

伊藤計劃原作による小説の劇場アニメ化プロジェクト「Project Itoh」の第3弾であり最終作品。
第2弾の「ハーモニー」の前日譚とされていますが、直接的に繋がっているわけではないため、作品単体で楽しめます。
当初は「虐殺器官」が第2弾になる予定だったが、“表現方法の追求”“制作体制の見直し”を理由に公開が無期限延期。公開自体が危ぶまれたが、延期から約1年半後に無事に公開された。

世界観がかなり複雑なため、どういう世界で、何が起きていて、軍隊がどうなっているのか、などを事前に知っておけばかなり楽しめると思います。
私自身は何も調べずに見ましたが、1回見ただけじゃ全体を理解するのはかなり困難でした。キャラクター達が何を言ってるのか分からなすぎて眠くなりました。
結果、後から細かく調べてようやくある程度理解しました。
原作未読勢にはかなり厳しい作品かも。

世界観を理解した上で見ると、キャラクターの気持ちや、その行動を起こした理由なんかも見えてきましたし、言葉の意味も理解出来ました。
理解出来たからこそ、主人公クラヴィスが追うジョン・ポールの印象が最初と最後で変わりました。虐殺を扇動するには十分な理由だし、少し同意も出来る。でも、虐殺を促す方法はもう少し詳しく知りたかったです。
クラヴィスの最後の行動、劇中の中で一番人間らしい行動だったと思います。

私には非常に難しい作品でした。
グロさは薄いですが、全体的になんか気持ち悪かったです。
「ハーモニー」も気になりますが、なんか「虐殺器官」よりも苦しくなりそうなんで、機会があったら見てみます。