クシーくん

オースティン・パワーズのクシーくんのレビュー・感想・評価

オースティン・パワーズ(1997年製作の映画)
3.7
007とハリー・パーマー(外見のみ)を足して引っかき回したハチャメチャ男、オースティン・パワーズ。冷凍睡眠から目覚めた60年代のスパイがフリーセックスとガチャガチャの歯並びを引っさげて大暴れ!シャガデリック!

オースティンとDr.イーブル、そして脚本まで担当している超過労働気味なマイク・マイヤーズで持っている映画と言っても過言ではないだろう。60年代は歯並びが悪くてもモテモテなのね。アメリカ制作でイギリス人のオースティンを演じるのはカナダ人のマイク・マイヤーズ。多国籍でスパイらしいなあ(?)。

オースティンのサイドキック、ヴァネッサを演じるのはE・ハーレイ。いかにもイギリス風な美人さんだが最近の映画に出演している印象が全くない。

007をベースにスパイ映画を徹底的に茶化したおバカ映画なのだが、にわか007ファンの私ですら随所にパロディが散りばめられていることに気付いたぐらいだから恐らくマニアには堪らない作品なのでは。元ネタへの細やかな愛を感じた。

30年間の休眠期間を経たオースティンはやがて現代社会とのギャップに苦しむことになる。苦悩の末にオースティンなりの答えを見つけ、Dr.イーブルと対峙した際のやりとりは印象的だ。60‘sが止まることを知らない自由への闘争なら、90‘sは自由と秩序の時代なのだ。過ぎ去りし遺産はオースティンの指摘通り、自由を希求する無垢な精神の内に生き続けているのかもしれない。言い過ぎかもしれない。
今考えると設定がどことなくキャプテンアメリカっぽい。

個人的に一番好きなのは親子カウンセリングのシーン。本作のギャグは殆どアメリカ映画のギャグなんだけど、ここだけやたらとイギリス的な笑いだったと思う。セラピストを演じてるのが母デビー・レイノルズとの長年に渡る確執で知られるキャリー・フィッシャーというのはなかなかエグい。笑うに笑えないよ!
クシーくん

クシーくん