救済P

ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトル・スター・ウォーズ)の救済Pのレビュー・感想・評価

4.0
ドラ映画6作目。6作品の中でダンチで面白い。

まずドラ映画特有の序盤の退屈なパートが短くて良い。ここ5作品のドラ映画は非日常との邂逅までが長く、起伏のないだらだらしたシーンが流れていて退屈だったが、本作は本編に入るまでが比較的早く、また爆破シーンの作画に力が入っているので、序盤のジャイアン、スネ夫、出木杉の映画撮影のシーンも相応の迫力があって退屈しなかった。

なんといっても本作の魅力はドラえもんたちと敵との戦闘が徹底的に「戦術」に基づいて行われていることだ。これまでのドラ映画では「ドラえもんvs巨悪」という構図がとられ、とにかく猪突猛進かつその場その場の判断で物語が進行していたが、本作は敵が軍隊ということで、例えば偵察艇に盗聴器を仕込んでおき、ドラえもんたちが偵察艇を爆破すると同時に盗聴器が作動し以降、作戦が筒抜けになるなど、敵・味方ともに作戦を練り、戦術をもってして敵対している点が、物語をより奥深いものにしていた。

全体的に感情表現が丁寧で、特にしずかちゃんの怒りや恐れによる表情の変化が丁寧に描かれていた。

個人的には逃げ出すスネ夫に対して単騎、立ち向かうことを決意したしずかちゃんのシーンと、序盤の反省を活かしクジラの飛行艇の視界を奪う判断を下したジャイアンの機転が好き。

ストーリー、演出、作画ともにクオリティが高く、なぜビッグライトを使わないのか疑問は残るがスモールライトを奪還する中で練られた戦術と緊張感は他のドラ映画にはない今作特有の魅力だといえる。間違いなくこの6作では一番のクオリティを誇っていた。曲も良い。
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