ろく

アメリのろくのレビュー・感想・評価

アメリ(2001年製作の映画)
4.5
職業柄「作文」を書かすことがある(正直インプットもしてないのに「嫌嫌」アウトプットをさせるのにはうんざりなのだが)。

で題材が無題になればなるほど、文化祭や体育祭、修学旅行、部活の大会のオンパレードになる。なぜ「イベント」がないと「世界」は出来ないのだろうか。

翻って見れば旅行もそうだ。(好きな人御免だけど)ディズニーランドに行楽地、イルミネーション。「心動かされる準備」をして、する行動にやはりうんざりだ。何もない電信柱だって感動は出来るはずなのに、そう思ってしまうのは僕が天邪鬼だからだろうか。

この映画はそんな魅力がたくさん詰まっている。だからだろう、後にこの映画の「薄っぺらな」エピゴーネンは多く生まれた。アメリは毎日を楽しくする天才かもしれない。そこにあるのは「自分に正しく生きる事」「人生を前向きに考えること」。

それは「今ここ」で出来ることだ。決して、「その場所」に行かないとできないわけでない。だから「行かないと出来ない」僕らには刺さる。ちょっとコーヒー飲むだけで、ちょっと部屋を掃除するだけで、幸せはたくさんあるんだよ。

そしてその見せ方を絶妙なトリッキーで魅せてくれるから「楽しく」感じる事が出来る。でもあまりにトリッキーだからほんとに薄く真似されてきた。冒頭の語りは「ブラッシュアップライフ」や「大豆田とわ子」、あるいは「インスタント沼」あたりにも通じるキャッチーさだ(すべて後発)。これは功罪かもしれないね。結局アメリの独創性を「これなんとなくよくない」とばかりに簡単に使用されてしまった。

それでもこの映画が「面白くない」ことの証明にはならない。むしろかなり「面白い」。別に用がなくても思いっきりオシャレをしよう。食べたことのないものを食べよう(別に高くなくてok)。思い切って人に話しかけてみよう。それだけで僕たちの世界は前に道が出来る。簡単なんだよ。道を作ることなんて。
ろく

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