ちろる

ガンジーのちろるのレビュー・感想・評価

ガンジー(1982年製作の映画)
3.8
インド独立運動の指導者であったガンジーの波瀾に満ちた生涯を壮大に描いた作品。
第55回アカデミー賞の8部門受賞した、伝記の名作といわれる本作ですが、
「偉大なる魂」と呼ばれ、非暴力主義を貫いたことでも知られる彼がどのような経緯でそのような指導者となれたのか、時にドキュメンタリーのように、敬意を持って丁寧に描いていました。

この映画ではインド独立には欠かせない、イギリスによるインド植民地政策の実態が赤裸々に描かれいたため、当時この作品を製作しようとしたらアッテンポロー監督の元にはイギリスの保守派や右翼の一部が圧力をかけてきたそう(怖!)
しかし、そんな理不尽な圧力にも負けずにこの作品を作り上げた監督に拍手です。
恥ずかしながら私、ガンジーについて非暴力主義の指導者ってこと以外はあまり知りませんでした。
しかし、イギリス側から見たインドを描いた作品でも勿論インド独立を描いた作品でも彼の存在は無視できない。
超大作故に躊躇しましたが本当に観て良かった。
ガンジーが初めからあの仙人のような出立ちのガンジーだったのではない。
優秀な弁護士としてイギリス紳士のような比較的裕福な暮らしをしていたところから、南アフリカでのインド移民差別に関わり、後の非暴力運動思想を形成していくその過程が本作ではじっくり感情移入できるように見せてくれる。

これだけ聞くと優秀な人物像は生まれつきのように感じるけれど、実は小学校の時は素行も悪く、禁じられた肉食もタバコにも手を出して、成績も悪かったという史実もあるらしくそこから描いてくれたらもっと良かったなーと思ってしまった。
(そこから描いたらきっと3時間コース・・・)
本作でガンジーを演じたベン・キングズレーは「シンドラーのリスト」での演技が印象的でしたが、彼にとっての代表作は間違いなくこれなんでしょう。
瓜二つの見た目作りはもちろんのこと、魂までインドの指導者となりきった彼の演技に心動かされる作品でした。
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