のんchan

やわらかい手ののんchanのレビュー・感想・評価

やわらかい手(2007年製作の映画)
5.0
別のレビューでこの作品を大好きと公言していたが、好きな作品ほど上手くレビューが書けなくて...
映画の好みって、観た年齢や環境などで変わったりするものなので、改めて今回は再々々鑑賞かな?
今回が1番冷静に観れて、ますます良さが解った気がして...私の中では満点です🌟

まずジャンル分けもちょっと難しい。
ヒューマンであり、ファミリーでもあり、いやいやコメディ?ある意味ラブストーリー

内容まで凄く引っ張りますが、もう少しお付き合いください。
このジャケ写真ですが、まず、え?なんだろう?と思いますよね?これは映画のワンシーンではあります‼️
想像してピンと来る殿方がいたら、ウフフフご存知なのね?と言っちゃいそう。
ここから覗いている女性が主人公のマギーなんですが...

このマギーを演じた方は...
《マリアンヌ・フェイスフル》
イギリスの歌手であり女優。
1964年にデビューしポップ・アイドルとしての地位を確立。その清らかな歌声とロリータ的な美貌で人気を博す。さらにジャン=リュック・ゴダールに見出され映画デビューも果たす。その後、17歳で結婚していたジョン・ダンバーと離婚し、本格的にストーンズのミック・ジャガーの恋人になった。知る人ぞ知る有名な女性です。
が、撮影当時は60歳かな?声はハスキーになってましたね。現在74歳。今年の4月にコロナに感染し入院し、退院されました。


引っ張り過ぎてもう読んでもらえないかも💦

ロンドンに住む未亡人のマギー。今まで地味に堅実に生活をして来た。孫が難病を患っていて症状が悪化。オーストラリアでの最新医療技術治療が必要となった為、その費用を工面するために四苦八苦する。銀行からの融資も断られ、職業紹介所でも年齢と専門技術がないことを理由に再就職は不可能。そこでマギーは思い切った行動に出る...ひょんな事からマギーの"やわらかい手"が功を奏し、高額の収入を得ることに...
その仕事とは...日本式(映画の中でそう言っているので実際にあったのかな)の風俗店で1つの技術を請け負って、行列が出来る人気者になる(まったく映像の中は淫らな描写はありません)
大金を手にし息子に渡すも、息子は母の跡を付けてどうやって稼いだのかを知ってしまい、嫌悪感を顕にする。ただ、嫁はマギーをずっと嫌っていた様子だったのに、この死ぬ気で稼いでくれた事に感謝する。孫も治療は成功するであろう。
途中、マギーの友人らや隣近所の人々との関わり方が出て来て面白い。何の得にもならない噂話に花を咲かせ、井戸端会議で耳を大きくするババア連中に散々皮肉られる日々だったが、最後は思いの丈をぶちかましたりして、本当にクスッというよりバンザイ🙌という程に痛快でスッキリする表現が堪らない。
そしてマギーは、風俗店オーナーのミキ(ミキ・マノイロヴィッチ)と良い関係になって行く。ミキの裏社会に長く身を置いた者の憂いのような雰囲気がとても良い。最後は孫に付いてオーストラリア行きを蹴って、ミキの元へ戻る💗

中年のおばちゃんをずーっとカメラが追う。シワもあり、皮膚もたるんでるし、更年期脂肪もたっぷりついた身体だけど、全然観ていられるし、前のめりになって応援している自分がいる。
マギーの真摯に生きる姿。目的に向かって身を粉にして働く熱心さ。そんな中でも主婦の知恵(仕事部屋に絵を飾ったり花を置いたり)で少しでも居心地を整える前向き感も豊かな気持ちになる。

ご覧になって、仕事内容を受け付けないという方もいらっしゃるのかも知れないけれど、この作品こそユーモアも取り入れたとても良質な作品だと思います。
2007年12月、Bunkamuraル・シネマにてたまたま出会った作品だったけど、その時の感動が何年経っても、いや、観る度にまた新たな刺激を貰え、間違いなく素晴らしい傑作だと証明してくれます✨
のんchan

のんchan