Maoryu002

未来を生きる君たちへのMaoryu002のレビュー・感想・評価

未来を生きる君たちへ(2010年製作の映画)
4.2
病気で母親を亡くしたクリスチャン(ウィリアム・ヨンク・ユエルス・ニルセン)はエリアス(マルクス・リゴード)とともに暴力でいじめっ子に復讐を果たし、その行動はエスカレートする。一方、アフリカで医療に携わるアントン(ミカエル・パーシュブラント)ははびこる暴力に心を痛めていたが、息子エリアスが復讐を肯定し始めていることを知り驚く。

スサンネ・ビア監督による、大人と子供の復讐と暴力をテーマにしたドラマ。
トマス・ヴィンターベアの「偽りなき者」並みに辛く切ない2時間だった。

クリスチャンは母親を失った痛みを抱え、それを父親への怒りに変えてしまう。
エリアスは両親から受ける愛情よりも、彼らの憎しみ合いを感じ取ってしまう。

憎しみには憎しみ、そこから戦争が始まるし、殴ることでしか自分を正当化できない人間は愚かだと教えるアントンは素晴らしいけど、それは2人の子供には届かないのが悲しい。
アフリカで彼の理想が踏みにじられる現実と同じだ。

以下、少しネタバレ。

息子を傷つけた子供に怒る母親、どうしていいか分からないクラウス、それぞれ親の痛みは、同じ親としてしんどすぎた。
それでも大切なのは子供を見捨てないこと。

アントンのキャラが理性的過ぎるし、ラストはちょっと楽天的だけど、2時間弱、ひたすら辛い時間だっただけに安堵と感動はひとしおだった。

もしかしたら、自分が愛する者同士が傷付け合うのを見ないと、人間は赦しの心を得られないのかなー?なんて。
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