とても不思議なバランスの作品で、見終わるまで何についての映画なのかわからないという点で鑑賞者を混乱させるかもしれないが、ラストの展開は間違いなく感動的なものである。クリント・イーストウッド監督はこんな描き方もできるのかと唸らされた。
強烈な津波の場面から始まり、その後は静かに三人の生活、苦悩を描く。共通するのは死後の世界に囚われた人々であり、どうすることもできない感情に苦しんでいる。普通の映画なら、中盤には彼らが出会い、そして関わり合いの中でのドラマを描いていくところを、イーストウッドはそうしない。彼らが出会う部分をクライマックスとするのだ。
自分の存在意義、生きる事について、出会いにより意識が変わるという事。それこそがドラマチックであり奇跡である。見終わって納得する部分が多かった。
