Kuuta

ヒア アフターのKuutaのレビュー・感想・評価

ヒア アフター(2010年製作の映画)
3.6
グラン・トリノより後のイーストウッド作品はほとんどそうですが、大きなテーマに対して絶妙な省略を交えつつ、明確な答えは提示せずに終わるのに、合間合間のドラマはきっちり重厚なので全体のクオリティは高い。

「中身空っぽじゃないか」と怒る人の気持ちも分かりますが、雑にすら感じられるこのさじ加減によって、話の隙間を語りたくなる気持ちにもなり、私的には「映画っぺーなあ」と思えて好きなのです。正直好みの問題だと思いますが。

孤独な才能人役はやはりマット・デイモン。料理教室の女の子との絡みはすごく良かった。

触れて、感じることが生きること(料理教室。マリーは津波で手を離し、やがて手を握る相手を見つける。携帯電話と固定電話の使い分け)。

この世とあの世を結ぶ仲介者(ディケンズの朗読会=公開霊言)。

ラストがハッピーエンドなのかもよく分からない。結局霊視体験した人同士でしか分かり合えないのか?マーカスにジョージが伝えた後半の話は嘘?

辛い日常の中の習慣(ディケンズ、取材、ネット検索)がそれぞれの身を助けるのは良い描写だと思った。hereafterは「あの世」でもあるし、眼前の少し先の現実でもあるのかなあと。

冒頭のいくつかの死のシーンを見て、「死は平等に訪れるからこそ不平等なんだな」と今更ながらじんわり感じたりもしました。特に津波の場面。73点。
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