友ニ

ツィゴイネルワイゼンの友ニのネタバレレビュー・内容・結末

ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

 原田芳雄が亡くなってからもう10年ということで、時の経つのが早いです。
 この作品、一度聞いたら忘れられないタイトルなのでいつかは観たいと思っていました。
 鈴木清順監督作品も観たことがなく、かなり芸術的な作風だということで楽しみでした。

 噂通りのかなり芸術的、前衛的で現実と虚構が入り混じった、理解に苦しむストーリー展開。
 静かに淡々と進む会話と、やたらと多い食事のシーンが印象的です。しかも、設定が上流階級のせいか大正時代にしては良いメニューで、料理を盛る器もさまざま彩り豊かです。
 二組の夫婦の住居や服装が和洋対象的に描かれていて、それぞれの思考価値観を対比させようとしているようです。
 また、切り通しでのシーンが光の使い方を含め、虚構と現実の境界としてのメタファーとして描かれているかのようです。

 それぞれの細君二人が何を考えているのか、次に取る行動がまったく読めませんです。義理の妹も含め女優陣は役作りに苦労したのではないでしょうか。

 夫を亡くしてからの大谷直子演じる妻小稲の立ち姿が見るからに幽霊のようで、肌の白さと相まって昔ながらの女性に対する怖さが見えました。
 そう考えると鈴木監督が思い描く、女性への肉体的感情的な思いを具現化した作品なのでしょう。
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