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インディ・ジョーンズ/最後の聖戦のdeenityのレビュー・感想・評価

3.5
インディ・ジョーンズシリーズの3作目。本作の感想としては知名度、人気度共に世界的レベルになりつつあるシリーズ作品がちょっと一歩踏み外した感は否めないかな、と。
やっぱり人気作ともなるといろんなファン層に応えたりしないといけないのだろうか。高評価つけてるわりにいきなり批判ですいません。でも今まで面白かったシリーズだからこそ、言いたいのです。

本作ではインディの生い立ちがいろいろと明かされていきますね。蛇嫌いの理由。口元の傷。名前の由来等。ファンはウハウハなのかもしれませんが、私はインディのファンではなく冒険ファンタジーのファンです。一作目のオカルトヒステリーな作風も二作目の信教の神秘的作風もとても夢があって好きでした。未知なる世界へ踏み込んでいくドキドキ感が胸を躍らせ、高揚感でいっぱいでした。でも三作目のターゲットからは自分は外れたんでしょうな。
明らかにファン受けしそうな内容満載、尚且つコメディ要素も徹底して大衆受けも考えた面白アドベンチャーになってしまっている。

そりゃ面白いんだよ、もちろん。特にコメディ色はだいぶ色濃くなったよね。ショーン・コネリーとのコンビも抜群でいい親子に見えるさ。何度か笑った部分はあったもん。最後の神殿のシーンも仕掛けが凝っていて期待させる展開だったよね。あの仕掛けもきっといろんな作品に影響とかも与えているだろうね。
でもきっと今までの積み重ねを取捨選択して拾い上げたものをブラッシュアップさせたんだろうな。そんでもって誰もが楽しめる作品に仕上げたんだろうな。それの何がいけないかって言ったら全然いけなくない。いけなくないんだけど未知なる冒険を夢見る人々にとってはちょっと肩透かしをくらうんじゃないかなって思う。

『インディ・ジョーンズ』はさっきも言った通りアドベンチャーでありながらファンタジーだと思う。だから「この世界にそんなことありえないだろうけど、あったらいいな」って世界観が広がっていて、「自分もその世界に足を踏み入れてみれたらな」って思い、インディをそれこそ探検隊のヒーローみたいに感じていた人も少なからずいるはず。きっと「川口浩(藤岡弘)探検隊」なんかが好きな人には同じ思いがあるんじゃないかな、勝手な思い込みだけど。
だからアドベンチャーでファンタジーという、その絶妙なボーダーラインを渡っていた今までの二作は本当に素晴らしかった。

でも今作の主たる部分はナチスドイツとの衝突であり、考古学者と国の戦いを根幹に据えて見せるのは『インディ・ジョーンズ』に期待するものではなかったように思う。追う物は歴史的聖杯だったかもしれないけど、申し訳程度に残り30分程度で入れ込まれた探索シーンでは消化不良で満足には至らなかった。追い求める上で人と争うのはある程度見せ場だし楽しみだけど、終始人同士がぶつかり合うのは何か違うでしょ。謎の動物と、歴史の紐解きと、未知なる仕掛けとぶつかるのが見たいんだよ。人同士のぶつかり合いなら他の作品でだって見れるじゃないか。
評価すべき親子の掛け合いも、それこそ間の抜けた二人のテンポではなくスピーディーなハラハラドキドキするようなテンポの展開を求めていたように思う。
制作したスピルバーグが「人気作の三作目だぜ!万人にウケのいい作品に仕上げたぜ!」って鼻高ドヤ顔で世に送り出した姿を考えると、「笑ったし面白かったけどさ、それによって消えた部分の弊害もあるんだぜ」って一言物申したくなる気もする。
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