ノラネコの呑んで観るシネマ

タレンタイム〜優しい歌のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)
4.6
故ヤスミン・アフマド監督の8年前の作品。
やっと観ることが出来た。
学園のタレントコンテスト"タレンタイム"の開催が迫る中、出場する生徒たち、その中の1人の送迎を任された聴覚障がい者の生徒、そして彼らの家族たちの物語が描かれる青春群像劇。
多民族国家のマレーシア。
登場人物にはマレー人もいれば、華僑もインド系も、ムスリムもヒンズー教徒もいる。
健康な者も病で瀕死の者もいて、大人たちの世界ではお互いに憎みあう者たちも。
だが若者たちは、しがらみとは関係なくそれぞれ絆を深めてゆく。
そして最後には、全ての葛藤が母に捧げる歌と共に解けてゆく。
物語は淡々と進むが、終盤にかけてグッとエモーショナルに盛り上がる。
ファーストとラストカットが対を形作り、最後には世界は少しだけ優しくなっている。
気持ちの良い、爽やかな映画だ。