メル

パイレーツ・ロックのメルのレビュー・感想・評価

パイレーツ・ロック(2009年製作の映画)
4.4
1966年のイギリス。
民放のラジオ局は未だ存在せず、国営のBBCは1日に45分間だけしかポップスを流してはいけない事になっていた。
それに対抗する様にイギリスの法律の及ばない北方の海域で船のラジオ局を作り、24時間ポップスやロックを流し続けたという事実に基づいたお話。

1966年と言えばビートルズがアルバム「リボルバー」を発表した年であり、UKロックも盛んになっている頃なのに…意外な事実。
設定は事実でもストーリーは完全娯楽、海賊ラジオ局を取り締まろうとする政府をよそに60年代のご機嫌なポップスに乗せて、ゆらり〜ゆらりと進んで行く。

ご機嫌なのは音楽の他に個性派揃いのキャスト!
神経質な役が多いフィリップ・シーモア・ホフマンのノリノリなカリスマDJ、水を得た魚のようです。

「ノッティングヒルの恋人」でおとぼけ役のリス・エヴァンスも別人の様にカッコ良く羽根付き帽子で現れ、セクシーなDJ。
モッズスーツのビル・ナイも細い脚で踊る!踊る!(笑)

主人公は、父親の存在すら知らず薬と煙草で高校を退学になり、母親の勧めでこの男だらけの船に送り込まれた青年カール。

日本でも戦後に米軍のラジオ局 FEN(Far East Network 今はAFN と言うらしい)から流れるジャズやポップスに魅了された多くの人たちが居た様に、多くのリスナーの映像も心を打つ。

個人的にはシットコム「ハイっ、こちらIT課!」のクリス・オダウドとキャサリン・パーキンソンが出ていたのが嬉しい。
オダウドの口パク ♪ステイ・ウィズ・ミー♪ は最高!

終盤に状況は一変するが、ここからが中々良いのだ。
青年カールも色々な「愛」を見つけ少しだけ大人になる。
映像に合わせて流れる曲は、知っていても知らなくてもぴったりだと分かる不思議。
Rock 'n' Rollなエンディングに心からスッキリしてしまう ♡

パッケージはビートルズのアルバム「サージェント・ペパーズ…」に激似なのにビートルズの曲は無い…。(笑)
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